2004年にスマトラ沖大地震に伴って発生したインド洋の津波災害の報道については、皆さんご存知だと思います。その報道の中から津波に関する情報を集めて見ました。私はもちろん専門家ではないので、このページの内容は正しいことが保証されているものではありません。
通常の波と、津波との差は、波の周期に違いがあります。海岸からで言えば、奥行きの長さということになるでしょうか。風による通常の波は、短いため岸で波が崩れればそれで終わりで勢いもすごく弱くなります。しかし津波は奥行きの長さがとてつもなく長く、岸で波は崩れますが、その後も勢いは衰えず、かえってその高さを増すようになります。
高さ1mの波といっても、そんなにたいしたものとは思えないでしょう。日本の海岸でも、1~2mの波はいつもやってきています。それでは1mの津波も、たいしたことはないのでしょうか?津波は、波が来て終わりではなくて、その後もずっと水位の高い状態が続きます。このため、強力な水流がずっと続くことになります。1mといえば腰ぐらいの高さですが、それでも家も車も流されてしまいます。
津波と普通の波は岸から区別できるのでしょうか?私が以前にもっていた津波のイメージは、沖の方に巨大な波が見えてきて次第に迫ってくる...というものでしたが、現実はそうではありませんでした。実際に、私たちが3階から最初に津波を見たときには、普通の波にしか見えませんでした。もちろん波がくるはずがないようなところだったので、おかしいとは思いましたが危険とは思えませんでした。報道によると津波の高さは7mだったようなのですが、いわゆる目で見えた波は1~2mだったと思います。実際に、危険なことがわかったのは、波の力が衰えず、そのまま岸まで達したときでした。通常の波なら、波打ち際で波が崩れて終わりなのですが、津波の場合にはそのまま岸まで上がってきて、どんどん水位があがり濁流となって流れ続けたのです。おそらくはこの時点で、7mに達していたのでしょう。
どうやら岸から見た場合には津波と普通の波は、ほとんど区別は付かないようです。特に常に波が来ているような場所では、難しいのではないでしょうか。津波だからといって、目で見える波の高さが高いとは限らないため、ちょっとした異変にも気を配る必要があるのかもしれません。
また私たちのときには、反対の岸で反射した来た波が重なり、さらに水位を増しました。最初は一階の高さの濁流だったのですが、水位が下がらないうちに反対側で反射した波が重なったため、合計に二階の高さの濁流になりました。通常の波とは違う、津波ならではの現象だと思います。
体験談および報道によると、ピピ島をはじめとしたタイの海岸では、津波の前に潮が引いたそうです(私たちは潮の異変には気づきませんでした)。ただし、津波の前には常に潮が引くかというと、そうではないようです。スリランカは、地震の発生した場所の反対側の海岸でしたが、こちらでは潮が引かなかったそうです。プレートの沈み込みに伴う地震の場合、跳ね上がった地盤によって津波が発生するらしいのですが、潮が引くのは沈み込んだプレートのある側のみで、跳ね上がった地盤側ではいきなり津波がやってくるとのことでした。
実際の津波では、最初からもっとも大きな波がくるというわけではないようです。私たちが見ていたときも、最初の波は岸まで達しましたが、一階を埋め尽くすほどではありませんでした。ただ最初の波が引かないうちに、次の波がきてあっという間に一階が完全に埋まってしまいました。
原則は「高いところに逃げる」のようです。報道によると、遠くに逃げようとした人は助からなかったようです。私たちは3階に居たために幸運にも助かりました。2階にいた人達のなかでも、津波を見てすぐに3階に逃げた人は無傷でした。本来なら私たちも3階よりも上の、屋上に逃げるべきだったと思います。波が迫ってくる中で、いろいろな考えが交錯してその場に留まってしまいました。もし波が3階まで来ていたら、大変なことになっていたでしょう。波が到達するまでは、それでも数秒はあったのですが、その中で決断するのは、なかなか難しいものがあります。
災害にあった場合、とにかく情報が錯綜します。私たちの場合、次の津波がくるから逃げろとか、夜中に救助船が来るなどのデマに、かなり振り回されました。どの情報を選ぶかは重要になります。そして情報の少ない中で、どう行動するか、その場での判断が問われます。