水中で使えるコンパクトデジタルカメラの選び方についての紹介をしています。
水中で使えるカメラにはいろいろと種類があるのですが、どのカメラがいいのかについて迷われている方も多いのではないかと思います。このページでは選び方について一つの方法を紹介しています。参考になれば幸いです。
本体が防水機能を持っているカメラだと、ハウジングなしで水中で撮影できます。ダイビングはしなくてシュノーケリングのみでしか使わない場合には、本体が防水になっているカメラであればハウジングを買う必要がないのでお勧めです。
中にはPanonic FT7やNikon W300のように本体だけで水深30m以上まで潜れるものもあります。他にもオープンウォーターレベル(水深18m)以上の防水性能があるカメラもありますので、あまり深くまで潜らないダイバーであればハウジングなしでも使えます。
以下に深く潜れる順にカメラを並べてみました。
31m ![]() |
Pananonic FT7 |
30m ![]() |
Nikon W300 |
25m ![]() |
Fuji XP140 |
20m ![]() |
Fuji XP130, XP120, Ricoh WG-6 |
15m ![]() |
Olympus TG-6, TG-5 |
14m ![]() |
Ricoh WG-60, Ricoh WG-50 |
10m ![]() |
Nikon W150, W100 |
このタイプのカメラは、防水のため電源をONにしてもレンズが出てこないようになっています。このためとてもコンパクトなのですが、そのかわりレンズを大きくすることが出来ないため、少し暗めのF値になっています。ただしオリンパスのTG-6/5は本体防水カメラにもかかわらずF2.0というとても明るいレンズを持っています。センサーについては1/2.3型を使ったモデルのみしかなく、大きなセンサーを使ったカメラ(1/1.7型以上)を希望する場合には、ハウジングを使うしかありません。
本体防水のカメラはパッキン等で防水しているので、メンテナンスをしっかりやらないと、水没してしまうことがあるので注意が必要です。
| ![]() 1型センサーの実際の大きさ |
基本的には、センサー(撮像素子)のサイズが大きいほど、画質も良くなる傾向にあります。特に水中は陸上よりも暗いため、大きいセンサーのカメラの方が画質的には有利といわれています。
通常のデジタルカメラは1/2.3型のセンサーが使われていますが、高画質を売りにしているカメラは1型以上の大きさのセンサーを使っています。これらのセンサーの大きなカメラは、画質を優先させたいダイバーにはお勧めです。
センサーが大きければ大きいほど画質的には有利ですが、その分レンズも大きくしなければならず、本体も大きくなってしまいます。レンズを小さくしようとすると、ズーム倍率を大きくできなかったり、マクロに弱くなったりします。またセンサーの大きいモデルは値段も高めです。
以下にセンサーの大きい順にカメラを並べてみました。
APS-C![]() |
APS-Cは一眼などで使用されている大きなセンサーで、前モデルのMarkⅡで使用されていた1.5型の1.42倍ぐらいの面積があります。一眼レベルの高画質な写真が撮影できてしかも純正ハウジングが用意されているという貴重なモデルになっています。ただしズームは3倍で、テレ端はF5.6と暗めです。近くにも寄れません。 |
1型 |
Canon Powershot G7X MarkⅡ Powershot G1 X MarkⅡ/Ⅲほどではありませんが、こちらもコンパクトデジタルカメラのレベルを超えた撮像素子といえると思います。どちらもワイド端であれば5cmまで近づけますし、F1.8という明るさになっています。 |
レンズが明るいと、とりこめる光の量が増えるので、その分ISO感度を低く抑えることができたり(画質が良くなります)、シャッター速度を速めたり(ブレにくくなります)することができます。
レンズの明るさはスペック上ではF値として記載されています。例えばF5.6でISO感度800, シャッター速度1/60で適正露出の場合、F2.8のレンズは2段明るいので、2段ISO感度を低く(ISO200)、もしくは2段シャッター速度(1/250)を稼ぐことが出来ます。ただし南国でのシュノーケリングのように、とても明るい場所で撮影する場合には、暗いレンズでも十分な明るさを確保できるので、明るいレンズのメリットはあまりありません。
標準的なワイド端のレンズの明るさ(F値)はF2.8で、それよりも小さな値だと明るいレンズと言えます。
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F値とレンズの明るさ
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F値とISO感度とシャッター速度の関係
明るいレンズのカメラには二つのタイプがあって、一つはワイド端は明るいのですがズームすると暗くなってしまうタイプのものと、もう一つはズームしても明るいままのものです。当然、ズームしても明るいほうがいいのですが、その分レンズが大きく、値段も高くなってしまいます。
ズームしても明るいタイプはCanonとSonyからしか出ていなく選択肢は限られます。
F1.8![]() |
Canon Powershot G7X MarkⅡ Sony DSC-RX100M5A どちらも開放でF1.8、ズームしてもF2.8以下ですので、とても明るいレンズと言えると思います。 G7Xはズーム倍率が4.2倍ありますが、RX100M3-M5は2.9倍です。両方とも1インチの大きなセンサーを使用しています。 |
ワイド端は明るいけど、ズームすると暗くなるタイプはいくつか選択肢があります。
F1.8![]() |
Sony DSC-RX100M2 RX100シリーズの初代とMark2はズームするとF4.9となりますが、ズーム倍率は3.6倍あります。1インチの大きなセンサーを使用しています。 |
F2.0![]() |
Olympus TG-6, TG-5 本体防水かつレンズが明るいカメラということであれば、この中からの選択になると思います。 |
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140mmでの撮影(Powershot G16)。F2.8にすることによって背景をボカすことができます。
明るいレンズにはもうひとつ特徴があって、ピントをあう範囲を狭くすることができます。これによって背景をボカした写真を撮影することができるようになります。特にズームしても明るいレンズで効果があります。
もちろんピントがあう範囲が狭いので、肝心の被写体にピントが合わない確率も高くなってしまいますが、その場合には絞りを絞れば広い範囲でピントが合うようになります。
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Powershot G10 28mmで撮影。
ワイド端が足りないと同じ位置では
もっと狭い範囲しか写らなくなります。
さらにワイドなレンズなら全身が写ります。
ワイド端が小さい数値であるほど(よりワイドなレンズであるほど)、ジンベエザメやマンタなどの大物に接近して迫力のある写真が撮れます。ほとんどのカメラはワイド端は28mmですが、24mmのカメラがいくつかあります。ただ本体はワイドなレンズでなくても、ワイドコンバーターを利用するという方法もあります。オリンパスはワイドコンバーターなどが充実しているメーカーですが、最近はINONからアタッチメントが用意されている機種も多くなってきています。ただし通常のシュノーケリングでは、ジンベエザメのような大物が出る可能性は低いので、そこまでのワイドは必要ないかもしれません。
24mm~![]() |
Canon Powershot G1X MarkⅢ /G7X MarkⅡ Sony DSC-RX100M5A |
25mm~ |
ズーム倍率が大きいカメラについては陸上では遠くのものも写せるのが強みですが、水中では遠くから倍率を上げて撮影すると不鮮明な写真になってしまうので、陸上ほどのメリットはありません。といってもカメラは水中だけで使うわけではないので、陸上でも便利に使いたいという場合には、高倍率のカメラを選ぶのも手だと思います。
ただしズーム倍率が大きいとF値が下がる(レンズが暗くなる)傾向にあります。また最短撮影距離も長くなります。
ピグミーシーホースやウミウシなど小さな生物を撮影する場合には、マクロ性能が重要になります。マクロ性能の一つは、どこまで近づいて撮影できるか(最短撮影距離)で、通常のカメラの場合マクロモードにすると1cm~5cmの距離まで近づいて撮影できます。ただしこの値はワイド端のもので、拡大して撮影しようとズームすると、もっと離れた距離でないとピントがあわないカメラがほとんどです。
中にはズームしても1cmの距離で撮影できるカメラもあるので、そのようなカメラを選べばマクロ撮影がしやすくなります。といっても、通常のカメラでもクローズアップレンズを装着すれば、さらに近づいて撮影できるようになるので、マクロ撮影のために用意するという手もあります。
※クローズアップレンズが装着できるのは、オリンパスのように純正で用意されているメーカのものか、INONから対応するアタッチメントがリリースされている機種に限ります。
最短撮影距離 |
オリンパスはスーパーマクロモードで、1cmの撮影距離でズームできるので、かなり拡大して撮影可能です。 |
最短撮影距離 1cm(ズーム中間域) |
ズーム中間域で1cmまで近づくことができます。マクロ撮影用のレンズ周辺のライトも付いています。 |
最近はほとんどのカメラが1920x1080のフルHDをサポートしていますが、最近になって4K動画をサポートしているカメラがでてきます。この中で純正ハウジングが用意されているカメラとしてSony DSC-RX100M5A, Sony DSC-RX100M5とSony DSC-RX100M4があります。本体防水カメラとして、Ricoh WG-6、Olympus TG-6, TG-5、Nikon Coolpix W300とPananoic LUMIX FT7も4K動画をサポートしています。TG-6, TG-5には純正ハウジングもあります。
他のスペック上の違いとしてフレームレートがあります。フレームレートが大きいほど滑らかに撮影できます。標準的なスペックで30fpsですが、中には倍の60fpsで撮影できるカメラがあります。4Kをサポートしながらも15fpsまでしか対応していないカメラもありますので注意が必要です。
動画形式のAVCHDとH.264、MPEG4については、圧縮方式はほとんど同じですが、保存形式が異なります。MotionJPEGはあまり圧縮効率は高くありません。どんなに性能が良くても値段が高すぎては買えません。旧モデルの方が値段が下がっていてお買い得なのですが、カメラ本体は安いのに、ハウジングを安く売っている店がなくなってしまっている場合もあるので、 買い時を見極めるのはなかなか難しいです。
手ぶれ補正については、一部を除いてほとんどのカメラが光学式の手ぶれ補正機構を持っています。といっても、水中の場合は被写体である魚がポーズをとってくれる訳ではないので、シャッター速度を上げれるような高感度に強いカメラの方がぶれにくい傾向にあるようです。